乃木坂46「Sing Out!」が集大成の理由

乃木坂46の「Sing Out!」が素晴らしい。すでにアイドル界の頂点に立っている乃木坂46が、自ら頂点に立っていることを宣言するような、そんな楽曲になっている。

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「Sing Out!」基本情報

「Sing Out!」は 齋藤飛鳥がセンターを務める、2019年5月29日にリリースされた乃木坂46の23枚目のシングル。Ryota SaitoさんとTETTAさんの共作による、クラップやストンプ風要素を取り入れた壮大な楽曲。Ryota Saitoさんは3期生楽曲の「言霊砲」を、TETTAさんは欅坂46「アンビバレント」をそれぞれ作曲されています。

「僕」と「君」の世界

「Sing Out!」の楽曲について考える前に、乃木坂46のこれまでの楽曲について少し振り返ってみます。デビュー曲「ぐるぐるカーテン」から22枚目のシングル「帰り道は遠回りしたくなる」まで、基本的に乃木坂46の楽曲は「僕」と「君」の世界でした。

シングル表題曲における主人公と登場人物についてまとめてみました。この表を使っていくらでも脱線話しができそうだなぁ笑

見ての通り主人公の「僕」と目の前にいる「君」についての内容が多く、基本的に乃木坂46の楽曲は「僕」と「君」二人の関係を描く。聞き手側は「僕」に自己投影をして、「君」をメンバーに置き換えてその世界を楽しむのだ。

もし君が振り向かなくても その微笑みを僕は忘れない

どんな時も君がいることを 信じて まっすぐ歩いて行こう

5thシングル「君の名は希望」

もちろん「僕」と「君」”二人”の世界だけではなく、例えばガールズルールでは「私たち」と「男の子たち」のようにグループとグループの世界が描かれているし、ハルジオンが咲く頃では「僕ら」と「君」、サヨナラの意味では「僕たち」と「君」の関係性を描いている。

もう少し! 男の子たちがやって来る それまで私たちの夏

6thシングル「ガールズルール」

ガールズルールにおける「私たち」は合宿に行く部活のメンバーであり、「男の子たち」は海にやってくる男の子。合宿期間中の出来事の話で、二人の世界の話ではないもののかなり狭い世界での話になっている。

ハルジオンが 道に咲いたら 君のことを僕らは思い出すだろう

14thシングル「ハルジオンが咲く頃」

サヨナラに強くなれ この出会いに意味がある 悲しみの先に続く 僕たちの未来

始まりはいつだって そう何かが終わること もう一度君を抱きしめて

守りたかった 愛に代わるもの

16thシングル「サヨナラの意味」

ハルジオンが咲く頃とサヨナラの意味は、それぞれ主力メンバーであった深川麻衣と橋本奈々未に当て書きされたとも言える卒業ソング。「僕ら(僕たち)」は残されたメンバーであり、「君」は去っていくメンバーと推察できる、グループ内のパーソナルな世界を描く

このように多少の変化はあるものの、基本的に乃木坂46の楽曲は「僕」と「君」、「グループ内の世界」といった非常に狭い世界を描くことが多かった。しかし、シンクロニシティとうい楽曲で乃木坂46の楽曲世界は変わりはじめる。

「見ず知らずの人」との関わり

20thシングル「シンクロニシティ」での主人公は「僕」だ。この点についてはこれまで通りの乃木坂46の楽曲と同じだが、この主人公が問いかけるのはよく知っている「君」ではなく、「すれ違う見ず知らずの人」となっている。

デビューから6年、主要メンバーの卒業を乗り越え、新メンバーを受け入れながら成長をつづけてきた乃木坂46。メンバーが出す写真集は次々と大ヒットを記録、インフルエンサーで日本レコード大賞を受賞し、国民的アイドルと呼ばれることも多くなってきたころ。

乃木坂46は「僕」と「君」の世界を描く歌から、「僕」と「見ず知らずの人」との関係を描く歌を歌いはじめる。ただそれでもあくまで「僕」個人と見ず知らずの「他者」個人との世界。

「僕たち」はここだ

そしてシンクロニシティでも日本レコード大賞を受賞し、ドームツアーを成功させるグループになった乃木坂46は、Sing Out!という楽曲にたどり着く。この楽曲は冒頭から自分のまわりの世界の話ではなく、世界の広さを憂い、ここいない誰かに対して思いを馳せる。そして高らかに歌う

僕たちはここだ Stomp your feet 存在に気づくように踏み鳴らせ!

仲間の声が聴こえるか?

23rdシングル「Sing Out!」

頂点に立っていることを自覚し、文字通りインフルエンサーとして他者に多大なる影響を与えるようになった乃木坂46が、足を踏み鳴らし「僕たち」はここだと宣言する。そして泣いているかもしれない、孤独でいるかもしれない、「ここにいない誰か」のために仲間の声が聴こえるか?と発信する。

今まで二人だけの世界を描いてきた乃木坂46の楽曲が、この世界のどこかにいる知らない誰かへ、グループの存在を主張する楽曲に大きく変化した。そしてライブ会場でこの楽曲の魅力は最大限に引き出される

乃木坂46のライブに限らず、アイドルのライブはステージで歌って踊るアイドルに対して、ファンがコールをしたりペンライトを振って”応援”する。楽曲によってはコールが無かったり特別な振り付けがあったりするが、ファンがアイドルを”応援”する姿が基本となっている。あくまでも「アイドル」と「ファン」であり、「僕」と「君」の関係性になっている。

しかしSing Out!という楽曲はこの関係性を変えてくれる。この楽曲ではコールも無ければペンライトもなくていい。メンバーの歌声に合わせて一緒に手をたたき、ラララ…と共に歌う。その瞬間、そこにあるのはステージ上のアイドルと客席のファン、応援される側と応援する側の姿ではなく、「僕たち」の姿だ

この想い届け Clap your hands 風に乗って飛んで行け 愛の歌

一人ぼっちじゃないんだよ Say hello!Say hello! Say hello!

24thシングル「Sing Out!」

そして「僕たち」は、一人ぼっちじゃないと愛の歌を届ける。この曲に説得力を持たせられるアイドルはなかなかいない。Sing Out!という楽曲は乃木坂46がアイドル界の頂点に立ち、自他ともに国民的アイドルと認める存在になった瞬間なのではないだろうか。

コメント

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