2019年9月4日リリース、パソコン音楽クラブの2nd ALBUM「Night Flow」がめちゃくちゃかっこよくて一聴き惚れしてしまったのでレビューします。
パソコン音楽クラブ「Night Flow」
1.Invisible Border
2.Air Waves
3.Yukue
4.reiji no machi
5.Motion of sphere
6.In the eyes of MIND
7.Time to renew
8.Swallowed by darkness
9.hikari
90年代ハードウェア縛りによるテクノポップ
”DTM新時代が到来する”をテーマに活動する「パソコン音楽クラブ」。どこかもっさいグループ名とは裏腹に、音楽はハイセンスで都会的なテクノポップ。90年代のハードウェア音源モジュールを使用して作られる楽曲は、テクノポップでありながらどこかノスタルジックな気持ちにさせてくれる不思議な世界に連れて行ってくれます。
僕も柴田くんも優柔不断なので、なんでもやれる状況だと、何をやっていいかわかんなくなっちゃうんですよね。だから「自分が持っている音源モジュールのプリセットからしか音を選べない」という縛りがあるとやりやすい。
音楽ナタリー インタビューhttps://natalie.mu/music/pp/pasocommusicclub/page/2
メンバーの西山がインタビューでこんなことを語っていますが、いかにも日本人らしくて笑ってしまいました。制限がある状況の中から最良の方法を選択したり、まったく新しいものを生み出すことは日本人の最も得意とするところですよね。DTMミュージック黎明期の90年代機材と彼らとの相性は抜群だったのでしょうね。
「Nigt Flow」=「夜の流れ」というタイトルの通り、夕暮れから夜を経て朝になるまでの流れを表現した作品になっている今作。昼間の喧騒とはかけ離れた静寂の世界を見事に表現した音楽となっていますが、静寂を音楽で表現するのって相当難しいと思います。音の作り方が非常に上手いですね。
reiji no machi
リードトラックとなっている「reiji no machi」、ボーカルのイノウエワラビという方は本業がイラストレーターのようですが、あえて感情を込めない無機質な歌声がこの楽曲の世界観に合っていてとてもいいですね。
車の止まっていない駐車場、誰もいない駅の改札、客のいないコンビニ、普段とまったく違う顔を見せる街の姿とリフレインするレトロな電子音。都会の風景でありながら、どこか日本の田舎町の情景さえも浮かんでくるような今作を象徴するような楽曲。
テクノへの入り口にもおすすめ
難解な音楽性のユニットも多いテクノというジャンルですが、この作品は3~5分程度の楽曲で構成されていて何よりもポップスとしても非常にハイセンスな内容になっています。ボーカル入り楽曲も多く、テクノなんですが日本的な"侘び寂び"を随所に感じることができます。普段こういったジャンルを聴かない方への入り口としてもおすすめできる一枚。