元日本代表サッカー選手の岩政さん書下ろしによる2作目の書籍、「FOOTBALL INTELLIGENCE 相手を見てサッカーをする」を読みました。
1作目の「PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法」が非常にロジカルで読み応えのある内容だったため、今作も楽しみに読みましたが、より深く戦術に突っ込んだ内容に大満足。
「ポジショナルプレー」やら「ストーミング」といった言葉を覚えるよりも前に、まずは読んで欲しい一冊。さっそく内容を紹介していきます!
「FOOTBALL INTELLIGENCE 相手を見てサッカーをする」内容の紹介
2019年3月18日発売、全301ページの書籍となっています。
こんな人におすすめ
著者について
著者:岩政大樹
著者の岩政大樹さんは1982年1月30日生まれの元日本代表サッカー選手。2004年鹿島アントラーズに加入後は07~09年Jリーグ3連覇に大きく貢献、3年連続Jリーグベストイレブンに選出されます。
2017年、まだ現役中に執筆した「PITCH LEVEL」がベストセラーとなり、2018年サッカー本大賞を受賞。2018年シーズンをもって引退後は解説や執筆活動を行う傍ら、ライブ配信やイベントを行う「PITCH LEVELラボ」を開設。
高校数学の教員免許を持つ異例の経歴の持ち主でもあります。
内容について
「相手を見てサッカーをする」ことに徹底的にフォーカスし、各ポジションにおける個人対個人の相手との駆け引き。システムにおける組織対組織になった場合の相手との駆け引きを、図解を用いて解説した書籍です。
大きく分けて三つの章から構成されているこちらの書籍。
第一章では、各ポジションにおける適切な相手との対峙の仕方が書かれています。例えばビルドアップ時に、センターバックが開いてボールを扱うシーンは実際の試合の中でよく見かけます。
セオリーともなっているポジショニングですが、なぜ開いてボールを扱うのか、ビルドアップ時の決まりごとになっているからそうしている。そうではなく、相手があるからこそのポジショニングであり、相手の動きによっては当然変える必要もあります。
自分たちが練習してきた形を作るため、ではなく相手を見て最適なポジションを取るための解説が、図解付きで6つのポジション別に理論的にされています。
解説されている重要な局面ではこのような図解入りとなっています。
FOOTBALL INTELLIGENCEより
第二章では、オーソドックスな【4-4-2】に始まり、【4-2-3-1】など代表的な8つのシステムについての急所が書かれています。
フィールドプレイヤー10人で広いピッチのすべてをカバーすることはできません。
すべてのシステムに長所と短所があり、急所となるスペースが必然的にできてしまう訳ですが、その急所が生まれてしまうメカニズムをこちらも図解付きで詳しく解説。
長所を最大化するために選手を集めた作戦なのか、敢えて急所を突かせて次の一手を講じるのか。相手を知り、駆け引きを行うための大きな要素であるシステムを分かりやすく学ぶことができます。
第三章では、岩政さん本人が実際に対峙した相手との駆け引きを「セットプレー時」「ゴール前」など6つの局面で解説。
現役中なら絶対話せないだろうなという内容が、本人の筆により直接解説されているためかなり生々しいです。
特に同じセンターバックとしてプレーされている方にはめちゃくちゃ参考になるのではないでしょうか。
このように相手を見ることの重要さを改めて教えてくれる書籍となっています。
「FOOTBALL INTELLIGENCE 相手を見てサッカーをする」を読んでの感想
この本を読んでサッカーには相手がいるという基本中の基本の事実も、意外と抜け落ちているもんだと気づかされました。
僕はプレイヤーではないのでプレイヤー視点を持つことはできないのですが、イチ観戦者として自分のひいきチームの動きやポジションはよくよく観察していても、相手チームの動きに関してはほとんど気にしていなかったなと。
両チームのスタメンから、それぞれのシステムの急所を見てそこでどのような駆け引きと攻防が行われるのか。
またサッカーを観るのが楽しくなりそうです。