【サッカー書籍レビュー】ユルゲン・クロップ 増補版 選手、クラブ、サポーターすべてに愛される名将の哲学

2020年現在、リヴァプールを率いるユルゲン・クロップ監督は、マンチェスター・シティを率いるペップこと、ジョゼップ・グアルディオラ監督と双璧をなす世界最高の監督の一人。

直近のチャンピオンズリーグ制覇に加えクラブワールドカップも制覇。世界一の監督と言っても過言ではない、サッカー界において問答無用のスペシャル・ワンでもあるクロップ

それなのに無精ひげにジャージ姿という風貌、喜怒哀楽を隠さず選手たち以上に喜びと怒りを爆発させ、自身をノーマル・ワンと評価。どこにでもいる近所のおじさん感を漂わせる人柄でサッカーファンを虜にする

もちろん僕もクロップに魅せられた一人です。そんなクロップ監督がどのようにして生まれたのかを読み解く本、読んでみました。

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「ユルゲン・クロップ 増補版」内容の紹介

2019年10月17日発売、全420ページのかなり読み応えのある内容の書籍となっています。

※2015年7月5日発売「ユルゲン・クロップ 選手、クラブ、サポーターすべてに愛される名将の哲学」の加筆修正版となっているのでご注意。

こんな人におすすめ

  • クロップサッカーが好き
  • マインツ、ドルトムント、リヴァプールのサポーター
  • マネジメントの仕事をしている

著者について

著者:エルマー・ネーヴェリング
訳者:大山雅也
監修:鈴木良平

著者のエルマー・ネーヴェリング氏は1976年生まれのサッカージャーナリスト。ブンデスリーガの公式誌「ブンデスリーガ・マガジン」や「ルールナハリヒテン」紙などに寄稿。「ルールナハリヒテン」はドルトムントの地元紙、香川全盛期の在籍時にはゴールのニュースなどの翻訳を楽しみに見ていました。

訳者の大山雅也さんは1978年生まれのドイツ語翻訳者。早稲田大学第一文学部ドイツ文学専修、ハインリッヒ・ハイネ大学デュッセルドルフ言語学科卒業だそうで、産業翻訳も手掛けているとか。要は日本におけるドイツ語のプロってことでしょう。

監修の鈴木良平さんは1949年生まれの東京都出身、サッカー指導者&解説者。ブンデスリーガの解説でおなじみですね。1973年にコーチ留学、そして1975年にはブンデスリーガの監督資格であるS級ライセンスを取得。名実ともに文句なしの「ミスター・ブンデスリーガ」です。

内容について

クロップのユース時代からマインツの選手時代を経て、監督としてリヴァプールでチャンピオンズリーグを制覇するまで。その半生を当時の監督やチームメイトなどのインタビューをもとに振り返るバイオグラフィーとなっています。

平凡な選手時代(とは言え2部のマインツでクラブ最多記録の325試合出場は十分すごい)についてはさらっと短めの内容となっていますが、そこでの監督との出会いが今のクロップ監督を形成する大きな出会いとなったことが書かれています。

そして選手として過ごしたマインツで初めて監督を務めることになるのですが、その経緯がなかなかドラマチック。ユース時代にはキャプテンを務め、練習場まで40キロの送迎時間を父との自身のプレー分析に充てる。

幼いころからキャプテンシーと戦術眼に優れたクロップが、プロ選手としての晩年に監督の打診を受けるまで、その当時の裏話が関係者から豊富に語られます

マインツの監督として低迷していたクラブを史上初の1部昇格へ導き、つづくドルトムントでも中位に甘んじていたクラブをブンデスリーガ2連覇へ導くと、史上初のカップ戦との2冠も達成。そしてタイトルから遠ざかるリヴァプールでも14年ぶりとなるチャンピオンズリーグ制覇。

共通しているのは低迷していたクラブを立て直すという仕事。なぜそのような難題をクリアしつづけられるのか、それぞれのクラブに潜む共通点と、クロップのアイデンティティとの親和性。

これを当時の印象的な試合を振り返りつつ、クロップ自身のインタビュー記事や、ブランディングの専門家による分析などで紐解いていきます。

途中、少ないながらもクロップサッカーの戦術分析や、巻末にはクロップ名言集も収録されています。

「ユルゲン・クロップ 増補版」を読んでの感想

やっているサッカーの面白さはもちろんのこと、何よりも魅力的なその人物像が様々な関係者から語られ、読み進めるにつれ「やっぱりクロップ好きだわ」と再認識。

元がドイツ語のため最初若干の読み進みずらさは感じましたが、この本を手に取る方でクロップが嫌いな方はいないはずなので、のめり込むうちに気にならなくなるレベル。

ドルトムント時代とリヴァプール時代については印象的な試合の内容も詳細に記載されており、試合を思い出しつつ裏でこんなやり取りもあったのかと楽しめます

クロップ自身の言葉は当時のインタビュー記事の引用がメインとなるため、いつの日か本人の言葉による自伝を読みたいとも感じました。

クロップのサッカーとその人物像に興味がある方はぜひ読んでみてください。

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