【サッカー書籍レビュー】ロストフの14秒 日本vs.ベルギー 未来への教訓

「ロストフの14秒」

この言葉、サッカー好きの方ならにすぐにピンと来るでしょうか。

2018年ロシアワールドカップ、ロストフの地で行われたベルギー代表戦。2-2で迎えた後半アディショナルタイム、サッカー史上もっとも美しいとも評されたベルギー代表のカウンターを受けて、日本代表初となるベスト8進出の夢は打ち砕かれました。

ベルギー代表がカウンターに要した時間は14秒。

この書籍では何度も考察されてきた「14秒のカウンター」の真実が、ピッチに立っていた選手たちの言葉によって語られます。

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「ロストフの14秒」内容の紹介

2019年10月29日発売、全220ページの書籍です。内容の7割ほどが選手のインタビューで構成されており、普段本をあまり読まない方でも読みやすい一冊となっています。

こんな人におすすめ

  • サッカー日本代表ファンの方
  • なぜあのカウンターが生まれたのか、真実を知りたい方
  • デ・ブライネの何がすごいのかを知りたい方

著者について

著者:NHKスペシャル取材班

「NHKスペシャル」略してNスぺとも呼ばれる、NHKが制作するドキュメンタリー番組。この時事問題に鋭いメスを入れる硬派な番組を制作する取材チームです。

内容について

2018年12月にNHKスペシャルで放映された番組を書籍化したもの、番組では放映されなかった証言も含め、選手たちのインタビューを中心に「ロストフの14秒」の真実に迫ります。

序章でグループステージでの戦いと、ベルギー代表戦で2-2となるまでについて軽く触れた後、「14秒のカウンター」について以下の3つの局面から徹底的に分析します。

「14秒のカウンター」重要となった3局面

1.本田が蹴ったコーナーキックへの日本代表とベルギー代表の対応
2.中央突破を仕掛けるデ・ブライネに対する山口の判断
3.誰もが意表を突かれたルカクのスルー

2-2で迎えた後半アディショナルタイム、本田が蹴ったコーナーキックがクルトワにキャッチされてカウンターが始まります。

時間を稼いで延長へ、という選択肢もある中で、日本代表はCBの2人をゴール前に上げてでも点を取りに行く選択をしたわけですが、そうせざるを得なかった理由が語られます。

クルトワがキャッチしたボールを受け取ったデ・ブライネは、トップスピードで中央をドリブル突破。

セオリー通りならゴール前に戻るべきだった山口がボールを奪いに行くと、デ・ブライネはあっさりとタイミングを外してフリーのムニエへパスを出します。その結果、山口が戻っているべきだった場所にスペースが生まれるのですが・・・

ここにはセオリーを無視してでも「ボールを奪いに行く」という判断をさせるデ・ブライネの罠がありました。

デ・ブライネ本人から語られるこの罠、技術だけではない、デ・ブライネの本質的なサッカーセンスがうかがえる貴重なインタビュー記事となっています。

そして最終局面、ムニエからのパスをルカクがスルー、結果フリーのシャドリが決勝ゴールを決めることになるのですが、試合終了を目前にしてなぜ冷静な判断ができたのか、ルカク本人が語ります。

ムニエには長友が、ルカクには長谷部が対応。代表経験も海外経験も豊富な2人の判断を上回るプレーを見せたルカク。

当時得点王争いもしていたエースストライカーが、ゴール前の絶好のボールをたとえ1%でもゴールに近づけるためと判断したプレー

そこには日本代表がベスト16の壁を破るための重要なヒントが隠されていました。

「ロストフの14秒」を読んでの感想

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試合終了直後から様々な分析がされてきたこの試合。負け試合の後にはどうしても戦犯探しが始まってしまいますが、選手たちのインタビューをもとに詳細に振り返ったこの本を読んで、そんな単純なことじゃないよなと実感。

むしろ誰か一人、どこかのワンプレーだけが責任であってくれたほうがどんだけ楽かわかんないです。

強豪国相手に2点先行することで浮足立ってしまった日本代表と、どこまでも冷静だったベルギー代表。接戦に見えた試合でしたが、選手たちのインタビューから圧倒的な差を感じてしまいました

そして気になったのが、クルトワがボールをキャッチをした時、デ・ブライネがドリブルで突破している時、ファウルをしてでも止めることができなかったこと。

ベルギー代表の選手ですら、ファウルをされても仕方ない場面だったと言っています。日本人らしいフェアプレーも大事ですが、より上へ行くためにはそれだけではないプレーの判断も必要になりそうですね。

日本代表がワールドカップでベスト16までコマを進めたのは3回、自国開催の2002年はトルコ代表を相手に0-1の敗戦。2010年南アフリカ大会ではパラグアイ代表相手に0-0(PK3-5)で敗戦。

日本代表は2018年ロシア大会で初めて決勝トーナメントでゴールを決めました。しかも一時2-0とする2得点。決勝トーナメントで強豪相手にもゴールを決められるという経験が蓄積されて、いつかベスト8、さらにその先へとつながっていくのでしょう。

あと、やっぱり2-0は危険なスコアだわ。

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