激しくギターをかき鳴らし、ヴォーカルはシャウト! ライブではオーディエンスがモッシュやダイブをする。そんなロックバンドが奏でる美しいバラード曲を紹介。
オアシス「ストップ・クライング・ユア・ハート・アウト」
マンチェスター出身、ノエル・ギャラガーとリアム・ギャラガーのギャラガー兄弟を中心に結成したオアシス。「ロックンロール・スター」や「ライラ」といったスタジアムアンセムはもちろんのこと、天才ソングライターであるノエルが書くバラードも極上の楽曲ばかり。
そんな楽曲の中でもこの「ストップ・クライング・ユア・ハート・アウト」は特にファンからも人気が高い楽曲。イントロの重々しいピアノの音色とリアムのハスキーヴォイスが感傷的な雰囲気を出しています。
過去に戻る能力を持つことによって苦悩する主人公を描き、”もっとも切ないハッピーエンド”というキャッチコピーで大ヒットした映画「バタフライエフェクト」の主題歌ともなっているこの曲。内容とのシンクロ具合もお見事! 映画も一度見てくださいね。
フィーダー「フィーリング・ア・モーメント」
1994年にイギリスで結成されたフィーダー、現在は伸びのある美しい声が魅力のグラント・ニコラスと、日本人のベーシストであるタカ・ヒロセの二人で活動をしています。
「ジャスト・ア・デイ」がプレステ2ソフト「グランツーリスモ3」に使用されたり、「 ファインド・ザ・カラー」が日産エルグランドのCM曲に使用されるなど、フィーダー自体を知らなくても聴いたことがある方も多いかもしれません。
メロディアスで疾走感のある楽曲が得意なフィーダーですが、グラントの美声を活かしたミディアムバラードも魅力! 特にこの「フィーリング・ア・モーメント」はその真骨頂とも言える楽曲で、冒頭の壮大なバンドサウンドとグラントの美しいファルセットに魅了されること間違いなしですよ。
ガンズ・アンド・ローゼズ「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」
1985年にヴォーカルのアクセル・ローズを中心に結成されたガンズ・アンド・ローゼズ。ゴリゴリのハードロック・サウンドと、アクセル・ローズが持つ奇行という名の数々伝説から派手なイメージが強いですが、極上の泣けるバラードも名曲ばかり。
全世界で3,000万枚の売り上げを誇る、超名盤でもあるデビュー作「アペタイト・フォー・ディストラクション」収録の「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」もガンズを代表する名曲。
まずギターがいいんですよね、イントロの印象的なリフと泣きのギターソロ。イントロのフレーズはギタリストのスラッシュがジョークで弾いたものだそうで、名曲あるあるですよね。作った本人は適当にやっただけ的な笑
そしてハチャメチャな印象の強いアクセルですが、当時のガールフレンドに向けて書かれたという歌詞を、ひたすら優しい歌声で歌い上げる一面も。ロック史に残る名バラード、一度聴いてみてください。
リンキン・パーク「ナム」
2000年代初頭にロックとヒップホップを融合した、ミクスチャー・バンドのひとつの完成形として一世を風靡したモンスターバンド=リンキン・パークからは超名曲「ナム」を紹介。
リンキン・パークといえば、ヘヴィなバンドサウンドに、メインヴォーカルであるチェスターのハイトーンヴォイスによるシャウト。そしてラップパートを担当するマイク・シノダのラップが絡むラウドな楽曲が目立ちますが、「ナム」はラップは抑え目でチェスターの美声をフィーチャーした楽曲。
他者が望む自分との乖離に苦しみ、ナム=何も感じなくなる。そんなチェスターの心情を綴った歌詞を、美しいメロディと心を開放するように爆発するサウンドで描き、リリース以来世界中で愛される名曲となっています。
2017年、チェスターの死によって奇跡のような声を新たに聴くことはできなくなってしまいましたが、この曲がこれから先もずっと、聴き継がれていく名曲であることは間違いありません。
ステレオフォニックス「メイビー・トゥモロー」
ウェールズにて幼馴染であったケリー、リチャード、スチュアートの3人で結成された、UKロックを代表するバンド=ステレオフォニックス。その後ケリーとリチャードを除きメンバーチェンジは発生するも、1997年のデビュー以来コンスタントに良作をリリースしています。解散したり空中分解してしまうバンドも多い中、活動し続けてくれるだけでも価値が大きいです。
もちろんただ続けているだけのバンドではありません。デビュー当時絶頂期を迎えていたブリット・ポップに影響を受けた、ギターのコードストロークとダイナミックなリズムによるバンドサウンド。アメリカのルーツ・ミュージックに傾倒したブルージーな楽曲。ポップかつ軽快なライブ映えする楽曲など、アプローチを変えながらも”らしさ”を失わない楽曲をリリースしています。
そしてその”らしさ”の象徴ともいえるのがヴォーカルであるケリーの声。しゃがれているけどクリアに伸びる唯一無二の声はステレオフォニックスの核となっています。この「メイビー・トゥモロー」では特に歌声の素晴らしさが強調されており、ブルージーでどこか退廃的な雰囲気を感じる楽曲に深みを与えています。
U2「ウィズ・オア・ウィズオウト・ユー」
アイルランド出身のU2は、1980年のデビュー以来これまで一度もメンバーチェンジをすることなく活動をつづけているレジェンド。グラミー賞を過去22度も受賞するなど、名実ともに世界を代表するバンドです。
アンセムの宝庫でもあるU2ですが、もっとも有名かつ人気の楽曲がこちらの「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」でしょう。日本でもドラマ「眠れる森」や映画「ソロモンの偽証」に使用されたり、宇多田ヒカルやGLAYがカヴァーするなど知らずとして聴いている方も多いはず。
イントロの穏やかな入りから、曲が展開していくにつれて徐々に増していく音圧。そして力強くなっていくボノのヴォーカルによる、高揚感とカタルシスが何度聴いても素晴らしいです。そして登りきった後は、穏やかな余韻に包み込まれるように終わっていく。最初から最後まで何も足す必要がなく、そして引く必要もない完璧な楽曲です。