ザ・ストロークスの過去と未来が凝縮「ザ・ニュー・アブノーマル」は最高傑作か?

待ちに待った! 前作から7年の歳月を経て、ついにザ・ストロークスの新作が発売されました。

00年代にロックンロール・リバイバル・ムーブメントをけん引してきたバンドも結成から20年。解散などの噂も飛び交っていましたが、ひとまず無事リリースされて安心。

直訳すると「新しい異常」とタイトルが付けられた通算6作となる今作。どんな変化球サウンドで来るかと思いきや、意外にも!? ファンがザ・ストロークスに求めているサウンドが随所にちりばめられたロックン・ロール・アルバムとなっています。

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「アット・ザ・ドア」の期待と不安

デビュー作の「イズ・ディス・イット」があまりの完成度とシーンに与えた影響が大きく、リリースのたびに比べられてしまうある種の宿命的なものを背負っているザ・ストロークス。

もともとアンダーグラウンド思考で、メインストリームに躍り出る気がサラサラ無かったメンバーたちはファースト・アルバムのヒットにさぞ戸惑ったことだろう。

結局世間が「イズ・ディス・イット」を求めつづける中、リリースごとに作風が変わりどちらかというと異端なバンドになっていったように思う。というより、そもそもが異端なバンドだったのかもしれない。

今でこそバイブルのような扱いを受ける「イズ・ディス・イット」も、当時のロックシーンでは異端も異端、なんじゃこれな作品だったことは間違いない。

そして待望の7thアルバムリリースに合わせ、まずはじめに解禁された楽曲がこの「アット・ザ・ドア」

The Strokes - At The Door (Official Video)

MVこそ80年代のSFアニメっぽくていかにもらしい雰囲気となっているが、シンセとジュリアンの淡々としたボーカルが鳴り響く楽曲に「は?」と思ったファンも多いはず。

だってほぼジュリアンのソロ作品ですもん、これ。

7年ぶりの新作がどんな問題作になるか期待と不安が高まる中、次に解禁される楽曲にまた戸惑うことに。

「バッド・デシジョンズ」の安心感

「アット・ザ・ドア」の次に解禁されたのがこちらの「バッド・デシジョンズ」なのですが。

The Strokes - Bad Decisions (Official Video)

もうね、びっくりするほどザ・ストロークス。

新作はどんな問題作になるのかと構えていた状況で、ここまでザ・ストロークス全開のサウンドで来られて逆に戸惑うレベル。

ザ・ストロークスのファースト・アルバムを崇拝しすぎるコピーバンドが、本家がやってくれないなら俺たちがやる。てな具合に作っちゃったんじゃないかと思うくらい、「イズ・ディス・イット」に入っていてもまったく不思議じゃない楽曲に。

サビんとこのギターフレーズなんてもうファンは大好物ですよ。

これは最高傑作かもしれない

いい意味で期待を裏切ってくれる「らしさ」と、ファンが求めるものをストレートに出してくれる文字通りの「らしさ」という両極端な楽曲をリードトラックにリリースされた「ザ・ニュー・アブノーマル」

あえてテンションを抑えるような展開が「イズ・ディス・イット」のオープニング・トラックを彷彿とさせる#1「ジ・アダルツ・アー・トーキング」で幕を開けると、クリーントーンのアルペジオと、ジュリアンのファルセットボイスが印象的な#2「セルフレス」

そしてシンセのリフが印象的な#3「ブルックリン・ブリッジ・トゥ・コーラス」へとつづき、ザ・ストロークス節全開の#4「バッド・デシジョンズ」と、ここまでの楽曲は過去作の振り返り的な流れになっています。

圧巻はこの後の#5「エターナル・サマー」からの流れ。

壮大なギターストロークとジュリアンのファルセットがひたすら心地いい「エターナル・サマー」からの#6「アット・ザ・ドア」への入りは本当に素晴らしい!

曲単体ではピンとこなかった「アット・ザ・ドア」も、流れで聴くとまた違った顔を見せてくれる。この2曲はライブでも連続でセットリスト入りすること間違いなしだろう。

2020年のフジロックで久々の来日が決まっているザ・ストロークス。夕暮れの野外フェスで最高の景色になることが簡単に思い浮かぶ。中止にならなければいいが…

そして印象的なギターリフの#7「ホワイ・アー・サンデイズ・ソー・ディプレッショング」、退廃的な空気が心地いい#8「ノット・ザ・セイム・エニモア」、穏やかに作品を締めくくる#9「オード・トゥ・ザ・メッツ」と、後半3曲もこれだけで一つの作品として成り立つレベルの完成度。

まだまだアルバムとしてのフォーマットの重要さを教えてくれる「ザ・ニュー・アブノーマル」はザ・ストロークスの過去と未来が凝縮された一枚となりました。

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